○神津島村議会ハラスメント防止条例

令和6年6月11日

条例第12号

(目的)

第1条 この条例は、神津島村議会議員(以下「議員」という。)と議員、又は議員と職員が互いに人格を尊重し、議員及び神津島村議会(以下「議会」という。)としての役割を十分に発揮するため、議員間又は議員と職員との間におけるハラスメントの防止に関し必要な措置を講じ、村民から信頼される議会の実現に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ハラスメント パワーハラスメント(職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、相手方に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、人格若しくは尊厳を害し、又は当該相手方の勤務環境(議員としての活動を行う上での環境を含む。以下同じ。)と害することとなる行為をいう。)、セクシュアルハラスメント(性的な言動により相手方に不快感を与える行為又はその行為により当該相手方の勤務環境を害し、若しくは勤務条件に不利益を与えることとなる行為をいう。)、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント(妊娠したこと、出産したこと若しくは妊娠若しくは出産に起因する症状により勤務することができないこと等に対する言動又は妊娠、出産、育児若しくは介護に関する制度若しくは措置の利用に対する言動により相手方の勤務環境を害することとなる行為をいう。)、その他の誹謗中傷、風評等により相手方の人権を侵害し、又は不快にさせる行為をいう。

(2) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職の職員並びに同条第3項第1号から第2号まで、第3号、第3号の2及び第5号に規定する特別職の職員(議員を除く。)をいう。

(適用範囲)

第3条 この条例は、議員間又は議員と職員との間において生じた問題について適用する。

(議員の責務)

第4条 議員は、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、その能力の発揮や良好な勤務環境の確保を阻害する行為であることを自覚し、自らの言動を厳しく律するとともに、ハラスメントの防止に努めなければならない。

2 議員は、ハラスメントに当たる言動を行っていると認められる事態に遭遇したときは、当該言動を行っている議員に対し厳に慎むべきである旨を指摘し、解決するよう努めなければならない。

(議長の責務)

第5条 神津島村議会議長(以下「議長」という。)は、議会におけるハラスメントの防止に努めるとともに、議員によるハラスメントに係る相談があった場合には当該相談に係る事実関係を調査し、必要に応じてハラスメント防止のための措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

(研修)

第6条 議長は、議会におけるハラスメントを防止するため、議員、神津島村議会事務局の職員その他議長が必要と認める者に対して研修を実施するものとする。

(相談体制の整備)

第7条 議長は、弁護士その他のハラスメント事案に関する専門的な知識又は経験を有する者を相談員とする体制を整備する。

2 議員によるハラスメントに係る被害を申し立てる者(以下「申立人」という。)は、相談員に対し、当該ハラスメントによる被害の継続又は再発を防止するための措置(以下「被害防止措置」という。)その当該ハラスメントに関する事項について相談を行うことができる。

(相談事案への対応)

第8条 前条第2項の規定による相談(以下「相談事案」という。)を受けた相談員は、相談事案におけるハラスメントに関する事実を確認するため、申立人、申立人がハラスメントを行ったとする者(以下「被申立人」という。)その他関係者からの聞き取り等、必要な調査を行うことができる。

2 相談員は、前項に規定する調査を行おうとするときは、あらかじめ議長の承認を受けなければならない。

3 第1項の規定による調査の結果、被害防止措置が必要と相談員が認める場合であって申立人が当該被害防止措置を求めるときは、当該相談員は議長にその旨を報告するものとする。

4 相談員は、相談事案が前項の規定に該当しないとき又は相談事案に対する調査の必要がないと認めるときは、申立人に対し、申立人が自らとるべき措置、行動等について助言するものとする。

5 相談員は、第3項の規定による報告のほか、相談事案の受付及び対応の状況について、議長に報告するものとする。

6 第3項の規定による報告を受けた議長は、必要に応じて、他の相談員その他の者の意見を求めることができる。

7 議長は、この条の規定に基づく相談員の業務遂行の自由を保障するものとする。

8 相談員は、相談事案に関する秘密を厳守するとともに、この条の規定に基づく業務(以下「相談業務」という。)を行うに当たっては、申立人及び被申立人のほか調査の対象となった者(以下「調査対象者」という。)の名誉、プライバシーその他の人権の尊重について慎重に配慮しなければならない。

9 相談員は、あらゆる政党及び会派並びに議員その他の関係者の干渉又は影響を排し、中立かつ公平に相談業務を行わなければならない。

(調査協力義務)

第9条 前条第1項の規定により相談員が相談事案に関して調査するときは、相談事案の申立人、被申立人及び調査対象者は、これに協力するよう努めなければならない。

(相談事案関係者の義務)

第10条 申立人、被申立人及び相談員その他の第7条第2項の規定による相談に関わる者は、申立人、被申立人及び調査対象者の利益を不当に侵害しないため、同項の規定による相談を行い、又は相談が行われている旨、相談員の発言その他相談事案に関する内容について、他に漏らしてはならない。

2 前項の規定に反し、同項に規定する事項が他に漏れたことが明らかになったときは、議長は、当該事案に関し中立かつ公平な観点から確認した事実及び漏らされた事項のうち事実に反するものを公表し、又は当該相談業務を中止し、若しくは停止する等、申立人の意向を確認した相談員の意見を踏まえ、申立人、被申立人又は調査対象者の正当な利益を守るために必要な措置を講ずるものとする。

3 申立人、被申立人及び相談員を除く第7条第2項の規定による相談に関わる者は、相談事案に関し相談員を介さず直接交渉し、又は申立人若しくは被申立人を威迫する等、相談員の業務の公正な遂行を妨げる行為をしてはならない。

(被害防止措置)

第11条 議長は、第8条第3項の規定による相談員からの報告を踏まえ、議会における対応が必要と認めるときは、被申立人に対し、注意を喚起し、ハラスメントをしないよう求める等の被害防止措置を講ずるものとする。この場合において、議長は、あらかじめ議員全員協議会(以下「協議会」という。)の議を経なければならない。

2 議長は、被申立人が前項の規定による被害防止措置に応じないとき又はハラスメント被害の継続若しくは再発を防止するためやむを得ないと認めるときは、協議会の議を経て、被申立人の氏名、相談の内容、調査結果及び同項の被害防止措置に関する事項の全部又は一部を公表することができる。

(プライバシーの保護)

第12条 議員は、申立人、被申立人及び調査対象者のプライバシー保護に十分配慮し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(取組状況の公表)

第13条 議長は、実施した研修、相談の受付及び対応の状況、議員がその責務を果たす上で参考とすべき事例等、この条例に基づく取組の状況を公表するものとする。

(議長の職務代行)

第14条 議長が申立人又は被申立人となったときは、神津島村議会副議長(以下「副議長」という。)が、議長及び副議長が共に申立人又は被申立人となったときは、年長の議員が、この条例に規定する議長の職務を行う。

(協議会の構成員の除斥)

第15条 議長、副議長その他の協議会の構成員は、申立人又は被申立人となったときは、その議事に参与することができない。ただし、協議会の同意があったときは、会議に出席し、発言することができる。

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

神津島村議会ハラスメント防止条例

令和6年6月11日 条例第12号

(令和6年6月11日施行)