○神津島村の美しい星空を守る光害防止条例

令和元年12月4日

条例第17号

(目的)

第1条 この条例は、光害の防止及び適正な照明に関し、村、村民等及び事業者それぞれの責務を明らかにするとともに必要な事項を定めることにより、村民等の生活及び事業者の事業に必要な夜間照明を確保しつつ、光害から美しい星空を守ることを目的とする。

(適用範囲)

第2条 この条例は、神津島村の全区域内に適用する。

(定義)

第3条 この条例において、光害とは屋外照明の使用が引き起こす以下の事項を指す。

(1) 夜空が照らされることにより星が見えにくくなること。

(2) 動植物への悪影響

(3) 人間生活への支障

(4) エネルギーの浪費

2 この条例において、次の各号にあげる用語の意味は、当該各号に定めるところによる。

(1) 屋内照明とは、屋根及び壁面によって囲まれた建物の内部の照明をいう。

(2) 屋外照明とは、屋内照明以外のすべての照明をいい、照明そのものを目的とするもののほか、広告、装飾等を目的とする発光物を含むものとする。

(3) 上方光束とは、屋外照明から発光する光のうち水平より上方向に向かう光をいう。ただし、近接する地面や壁面等による反射光は含まない。

(4) 村民等とは、村民、旅行者及び滞在者をいう。

(5) 事業者とは、神津島村の区域内で公共事業又は営利事業を行っている者をいう。

(光害防止の目標)

第4条 神津島村の区域内において夜空の明るさmag/arcsec2(マグニチュードパー平方秒角といい、単位平方秒角あたりの等級を示す。)の数値が前年度よりも悪化しないことを目標とする。

(村に基本的な責務)

第5条 村は、あらゆる施策を通じて、光害の防止に最大限の努力をしなければならない。

2 村は、教育活動、広報活動等を通じて光害についての知識の普及を図るとともに、村民等の意識の高揚に努めなければならない。

3 村は、村民等及び事業者に対し、この条例を遵守するよう村職員をもって指導にあたらせるとともに、光害防止について技術指導及び施設の整備について必要な助言を行うものとする。

(村民等の責務)

第6条 村民等は、光害の防止に努めるとともに、村が実施する光害の防止に関する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、光害を防止するため、必要な措置を講ずるとともに、村が実施する光害防止に関する施策に協力しなければならない。

(光害防止審議会)

第8条 この条例によりその権限に属する事項を審議するほか、村長の諮問に応じ光害防止のための重要事項を調査審議するため、神津島村光害防止審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、光害の防止に関する事項について、村長に意見を述べることができる。

3 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(関係行政機関への協力要請)

第9条 村長は、国、都及び関係地方公共団体に対し、光害の防止のために必要な措置又は協力を要請することができる。

(屋外照明の設置・運用において配慮すべき事項)

第10条 村民等及び事業者は、屋外照明について、第13条に規定する場合を除き、原則として、本条第2項から第4項に従い、必要な方向に向けて、必要な量の明るさで、必要な時間だけ点灯し、その相関色温度は、3,000K(ケルビン)以下でなければならない。

2 照射方向については、上方光束がゼロとなるように設置し、住民の生活圏以外への光漏れが最小限になるように、本項各号に定められた形式を守る。

(1) 屋根のない場所では、光源の上部を覆う笠の付いた照明器具を使用し、光源の発光部(光源周囲に取り付けられた光を透過・拡散させるプリズム・グローブ、カバー等を含む)の下端と笠の縁とを結ぶ線が水平又はそれ以下に向くよう設置する。

(2) 屋根のある場所では、屋根の縁から上方光束が漏れ出さないように照明器具を設置する。

(3) 照明器具の内、投光器(スポットライト、サーチライト、レーザー等)、内照式照明、電光掲示板、デジタルサイネージの使用は、一時的使用に限るか、又は上方光束がゼロになるように設置する。

(4) 隣接する森林や海面等、動植物の生活圏への光漏れを最小限にするよう、また光源が直接村民等の視界に入りグレア(不快感や物の見えにくさを伴う眩しさ)の原因とならないよう、器具の設置角度に配慮するとともに、遮光板や覆いが有効な場合はこれを利用する。

3 光量については、用途に応じ、必要以上の明るさとならないよう、光源の種類、ワット数に配慮する。また、調光制御が可能な場合は、積極的に利用する。

4 点灯時間については、用途に応じ、本項各号に従い、必要な時間帯のみ点灯し、支障のない時間帯は消灯又は減灯する。

(1) 消灯・減灯の制御は、管理者による操作のほか、人感センサー、照度センサー、タイマーなどを積極的に利用する。

(2) 施設や店舗等の屋外照明は、閉館、閉店時刻をもって消灯する。

(3) 人感センサーを使用し、点灯後5分以内の一時的な照明として設定された屋外照明は、本条の適用から除外できる。

5 村民等及び事業者は、本条第1項から第4項を満たしたうえで、できるだけエネルギー効率の優れた光源・器具を使用する。

6 村民等及び事業者は、本条第2項第3号及び第4項に規定される一時的に使用される屋外照明についても、可能な限り前項に従い、点灯時間は必要最小限としなければならない。

(屋外アクティビティからの光漏れの制限)

第11条 村民等は、キャンプ装備、RV車等を使用した屋外アクティビティにおいて使用する照明器具を必要最小限としなければならない。

2 村民等は、不適切なライトペインティング行為、不必要なサーチライトの使用をしてはならない。

(照明を使用する屋外広告看板の制限)

第12条 村民等及び事業者は、照明を使用する屋外広告看板について、日没時刻の1時間後以降から日の出時刻の1時間前まで点灯してはならない。

2 看板は、黒の背景に単色のものでなければならない。

3 日没時刻以降の輝度は、100cd/m2(カンデラ毎平方メートル)以下でなければならない。

4 一つの看板面積は、18.6m2以下でなければならない。

(適用除外)

第13条 村長は、村民等及び事業者の生命、身体及び財産の安全の確保又は権利の保護及び保全のため必要があると認められる場合は、第10条から第12条の規定の適用を除外することができる。

2 前項に規定の適用を受けようとする者は、規則で定めるところにより、村長に対し、適用除外を申請しなければならない。

3 村長は、前項の規定により申請された適用除外の理由並びに本条第1項に定める必要性及び光害の防止の必要性を慎重に審査のうえ、申請を承認し、又は理由を示し、これを認めないものとする。

(国等に関する特例)

第14条 国又は地方公共団体による照明器具の設置又は使用については、前条第2項の申請を要しない。この場合において、当該国又は地方公共団体は、その行為をしようとするときは、あらかじめ村長と協議しなければならない。

(光害の監視)

第15条 村長は、第4条の目標を達成するために、夜空の明るさを村内の主要天体観測地点において年4回以上の頻度で測定し、監視し、その資料を公開するものとする。

(調査)

第16条 村長は、光害防止のために必要があると認めるときは、村職員をもって状況を調査させることができる。

2 前項の場合において、村職員は、必要な限度において、当該調査対象物件の所有者、管理者又は占有者と協議のうえで、その場所に立ち入ることができる。

3 前項に規定により立ち入り調査を行う者は、その身分を示す証明書を携帯し、当該調査対象物件の所有者、管理者又は占有者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(改善命令)

第17条 村長は、調査のうえ、第10条から第12条の基準に適合しない行為を行っている者に対し、期限を定めてその改善を命ずることができる。

(命令に従わない場合の措置)

第18条 村長は、前条の命令に従わない者に対し、行政手続法第29条から第31条に定める弁明の機会の付与手続に準じて当該違反者に対して弁明の機会を付与し、当該弁明に理由がないと判断した場合には、理由を付してその氏名又は名称及び実情を公表することができる。

(委任)

第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

この条例は、令和2年1月1日から施行する。

神津島村の美しい星空を守る光害防止条例

令和元年12月4日 条例第17号

(令和2年1月1日施行)