船出の季節

船出の季節

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車や白や赤のコンテナ、運び出されるダンボール。

桟橋に着岸している客船。

黄色と黒のしましま。

普段は無機質に感じる事が多い島の玄関口が、

3月下旬ともなると暖かさに包まれる。

 

いつもは無機質な空間に、人があふれ

島を離れる中学生、高校生、学校の先生、都の職員、警察官などの方々と

お互い島人として交わす最後の挨拶、最後の言葉。

 

今さっき、目の前で話しをして、

温もりを感じる事ができた方々は船に乗り込む。

そうなると、

海を隔てて、近くて遠い、触れそうで触れられない。

 

桟橋の淵ギリギリまで近づく見送る方。

甲板の手すりに身を乗り出す見送られる方。

本当に最後。最後の言葉を届けあう。

 

冷たい海の隔たりを、

彩り豊かな紙テープが埋め尽くし、島と船の間に虹が架かり、

本当に最後。最後の温もりを届け合う。

 

 

船が島を離れる時。

 

タラップが外され。

コンテナ作業が終われば、

響き渡る笛の音。

 

それを合図に船と島を繋げるロープは外されて

船と島を繋ぐ物は なびく虹色の紙テープだけ。

 

いつもより長い汽笛が心を震わせ、

虹が島側から消えていき

本当に「別れ」なんだと実感させる。

 

普段は作業音のみが響く桟橋が、

たくさんの人の暖かさで溢れ返り、

いつもは彩り少ない桟橋が、

虹色で染められて。

 

感謝と涙と共に船は島から遠ざかる。

 

島の春。

潮風に乗ってやってくる。

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